概要
ハンチントン病は、意思と関係なく手足や顔が不規則に動く舞踏運動に加え、動作や歩行の難しさ、気分・行動の変化、考えをまとめにくいなどの症状が出る遺伝性の病気です。舞踏運動が目立たない時期もあり、発症年齢や症状の順番には幅があります。転倒、食事のむせ、気分の落ち込みなども診療時に伝えます。旧病名の「ハンチントン舞踏病」だけでは症状の広がりを表しきれません。
原因
第4染色体のHTT遺伝子にあるCAGという配列の繰り返しが異常に長くなることが原因です。常染色体顕性遺伝で、患者である親から病気に関わる変化を受け継ぐ確率は子ども一人ごとに約2分の1です。ただし家族に患者がいるだけで、その人の発症を断定できません。本人に症状がある場合と、症状のない家族が将来のリスクを知りたい場合では検査の意味が異なります。遺伝子検査の前に脳神経内科・臨床遺伝の専門家に説明と相談を受けます。
治療法
現時点で進行を止める治療は確立していませんが、「治療法がない」は誤りです。舞踏運動が生活の妨げになる場合はテトラベナジンなどの薬、気分や行動の変化には症状に応じた治療を検討します。転倒や食事のむせ、話しにくさ、日常動作の困難にはリハビリテーション、栄養・嚥下の支援を組み合わせます。薬の利点と副作用を専門医と確認し、気分が強く落ち込む、希死念慮がある場合は速やかに医療者へ伝えてください。
舞踏運動だけで判断しない
手足の不規則な動きだけでなく、歩きにくさ、性格・気分の変化、考えをまとめにくいことも脳神経内科に伝えます。似た症状を起こす薬や別の病気もあります。
遺伝子検査は説明を受けて選ぶ
発症した人の診断を確かめる検査と、症状のない家族が将来のリスクを調べる検査は目的が違います。結果が生活や家族に与える影響も含め、臨床遺伝の専門家に相談してから決めます。
症状への治療を受けられる
進行を止める薬が確立していなくても、舞踏運動、気分の変化、転倒、飲み込みの問題に対する治療や支援があります。困っている症状を具体的に伝えます。
むせ・転倒・気分の変化を伝える
食事でむせる、体重が減る、転倒が増える、気分が強く落ち込む場合は、予定の診察を待たず医療チームに相談します。希死念慮がある場合は速やかに助けを求めてください。