概要
巨大結腸症は、大腸の一部が異常に広がった状態の総称で、便やガスが出にくい、腹部が張る、腹痛や嘔吐が起きることがあります。生まれつき腸の神経節細胞が欠けるヒルシュスプルング病と、成人にも起こる炎症・感染・急性偽性腸閉塞などでは原因と治療が異なります。後天性なら軽いとは限りません。急に強い腹痛や腹部膨満が出たとき、発熱や嘔吐を伴うときは、腸閉塞・中毒性巨大結腸症などの緊急疾患も考えて受診が必要です。
原因
ヒルシュスプルング病では肛門側から続く腸管の一部に神経節細胞がなく、便を送り出しにくいため、その手前の腸が拡張します。新生児の胎便排出の遅れ、腹部膨満、緑色の嘔吐が手がかりです。一方、後天的な拡張は、重い腸炎や炎症性腸疾患に伴う中毒性巨大結腸症、腸のねじれ、機械的な閉塞がない急性偽性腸閉塞など、病態がさまざまです。病名だけから原因や重症度を決められません。
治療法
診察では症状の始まり方と便・ガスの出方、発熱や嘔吐の有無を確かめ、腹部画像などで拡張や閉塞の原因を調べます。ヒルシュスプルング病が疑われれば直腸生検で神経節細胞の有無を確認し、小児外科で腸を減圧した後、神経節細胞のない部分を除く手術を検討します。重い病状では一時的なストーマが必要なこともありますが、全員に必要とは限りません。急性偽性腸閉塞や炎症性の重症例は入院下で原因に応じた治療や減圧、必要時の手術が行われます。手術後も便秘や便失禁が残る場合があり、経過観察と排便管理が大切です。
急な腹部膨満・強い痛み・発熱は救急で評価
大人でお腹が急に大きく張る、強い痛み、繰り返す嘔吐、発熱、ぐったりするなどがあれば、便秘だけと決めずに救急外来へ相談してください。中毒性巨大結腸症や腸のねじれ、急性偽性腸閉塞などは迅速な診断が必要です。
新生児の胎便遅れ・緑色の嘔吐に注意
生後2日を過ぎても胎便が出ない、腹部が張る、緑色のものを吐く場合は速やかに小児科・小児外科へ相談してください。ヒルシュスプルング病が疑われる子どもに発熱、悪臭のある水様便や血便が加われば、重い腸炎の可能性があり救急受診が必要です。
画像で拡張と閉塞を調べ、先天性は生検で確認
腹部X線や必要な画像検査で腸の広がりと閉塞を確認します。ヒルシュスプルング病では直腸肛門内圧検査や造影検査が参考になり、直腸生検で神経節細胞がないことを確認して診断します。検査の組み合わせは年齢と状態で変わります。
ヒルシュスプルング病の手術は病状に合わせる
神経節細胞のない腸管を除き、正常な腸を肛門につなぐ手術が基本です。手術までの間は医療者による洗腸などで減圧し、広い範囲が障害されているなど重い場合には一時的なストーマを設けることがあります。「成長するまで必ず手術を待つ」わけではありません。
後天性は原因ごとに治療が異なる
急性偽性腸閉塞では、医療機関で原因や薬の確認、輸液などの保存的治療、改善しない場合の減圧処置などが検討されます。炎症性腸疾患に伴う中毒性巨大結腸症は緊急に専門的治療が必要です。ひとまとめに「便秘薬か手術」とは扱えません。
先天性は手術後も排便と腸炎の経過を確認
手術で腸の通りを改善できても、便秘、便失禁、腸炎が残る・起こる場合があります。便の回数や性状、腹部の張りを記録し、排便管理を小児外科と続けてください。新たな発熱、腹部膨満、悪臭のある下痢は早めに相談します。