概要
腸管癒着は、お腹の中に傷あとに似た組織ができ、腸同士や腸と腹壁などがくっつく状態です。癒着があっても多くの人には症状がありません。症状が出ると腹痛、腹部膨満、吐き気などを伴い、腸の通り道が塞がる腸閉塞につながることがあります。腹痛が強い、吐き続ける、お腹が張って便やガスが出ないときは、手術歴が何年も前でも速やかに受診してください。
原因
腹部・骨盤内の手術後に起こることが多く、開腹手術だけでなく腹腔鏡手術の後にも生じます。腹部の炎症や感染が原因になることもあります。癒着は腸を曲げたり圧迫したりして通過障害を起こしますが、手術歴がある人の腹痛をすべて癒着と決めつけることはできません。診察時には、過去の手術の部位と時期を伝えてください。
治療法
無症状の癒着は通常治療しません。腹痛や吐き気が続けば医療機関で原因を調べます。CTなどの画像検査は癒着そのものを映せない場合が多い一方、腸閉塞や別の原因の評価に役立ちます。癒着性小腸閉塞では、腸の血流障害や腹膜炎がなければ入院して点滴や胃管で減圧する治療を試すことがあります。血流障害、絞扼、腹膜炎が疑われる場合や改善しない場合には手術を検討します。癒着を剥がす手術自体も新たな癒着を作り得るため、症状とリスクを踏まえます。食事や運動だけで癒着を治す、あるいは確実に防ぐ方法はありません。
癒着があっても症状があるとは限らない
腹部手術後の癒着はよくみられますが、多くは無症状です。腹痛があれば癒着だけでなく別の原因も調べます。
腸閉塞を疑う症状は早く受診
腹痛が強い、繰り返し吐く、腹部が張り便やガスが出ないときは腸閉塞の可能性があります。自宅で食事や下剤で対処せず医療機関に相談してください。
昔の腹部手術歴も伝える
癒着による閉塞は手術の何年も後に起こることがあります。手術の種類と時期、以前の腸閉塞歴を診察時に伝えます。
CTは癒着自体より閉塞の評価に役立つ
画像検査で癒着そのものを確認できないことがあります。CTなどは腸閉塞とその重症度、他の原因を調べるために使われます。
無症状・閉塞・血流障害で対応が変わる
無症状なら通常は治療不要です。腸閉塞なら入院下の点滴・減圧を試す場合があり、血流障害や腹膜炎が疑われれば手術評価を急ぎます。