概要
原発性(一次性)ネフローゼ症候群は、明らかな原因疾患がある二次性ネフローゼ症候群を除外したうえで診断する腎疾患群です。大量の尿タンパクと低アルブミン血症を伴い、まぶたや脚などのむくみ、体重増加、だるさなどが見られます。一つの病気ではなく、病型によって経過や治療への反応が異なります。
原因
主な病型は微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、巣状分節性糸球体硬化症などです。糸球体の障害でタンパクが尿へ漏れますが、病型ごとに関与する仕組みが異なり、原因が十分に分かっていない部分もあります。二次性でも糸球体は障害されるため、糸球体の異常があるということだけで原発性とは判断できません。
治療法
病型、尿タンパク量、腎機能、治療反応などに応じて、ステロイド、免疫抑制薬などの必要性を検討します。条件に合う一部の患者ではリツキシマブも選択肢になります。むくみ、血圧、脂質などの治療と、栄養・生活の調整も行います。入院が必要か、食事や活動をどう調整するかは個別に判断します。
尿量の変化・発熱は相談し、急な呼吸困難は119番
尿量の低下、むくみの急な悪化、発熱、強い腹痛などは、速やかに医療機関へ連絡してください。病気に伴う感染症・血栓症や治療の影響などを確認します。急な呼吸困難、強い胸痛、意識の異常は119番です。通院中は、再診の予約を待たず連絡する条件を確認しておきましょう。
病型と二次性の原因を確認して、治療を選ぶ
尿と血液の検査で尿タンパク、アルブミン、腎機能などを調べ、病歴・薬・検査から二次性の原因を確認します。病型を調べるために腎生検などを検討しますが、実施の必要性は状況によって異なります。成人と小児の診断・治療は同じではありません。分かった病型、追加検査の目的、治療の選択肢について説明を受けましょう。
ステロイドの効果と副作用、追加治療の対象を確認
治療の効果は尿タンパクなどで確認し、再発や副作用に応じて調整します。リツキサンの現行添付文書では、頻回再発型・ステロイド依存性の適応はステロイドで寛解を認めた特発性ネフローゼ症候群が対象です。「難治性」の適応には小児期発症など別の条件があります。誰でも使える薬や、必ずほかの薬をやめられる治療ではありません。自分が対象か、期待する効果と検査・副作用への対応を確認してください。
食事と活動は、病型・腎機能・栄養に合わせる
減塩、必要な水分量、タンパク質とエネルギー量は担当医・管理栄養士と具体的に決めます。タンパク質を極端に減らすと栄養障害の危険があります。安静や運動制限も一律にせず、むくみや体調、治療の段階に合わせて活動範囲を確認します。すでに指示がある人は、自分で変更する前に担当医へ相談してください。
免疫を抑える治療中の体調変化を早めに伝える
発熱、咳、体調の悪化などがあれば、早めに治療先へ連絡します。リツキシマブを使う場合には、治療前のB型肝炎の確認や、治療後も含む感染への注意・検査が必要です。点滴中の息苦しさ、発疹、気分の変化などはその場で医療者へ伝えてください。予防接種や予防薬の必要性・時期も、治療計画に合わせて相談しましょう。
寛解後も、再発と薬の影響を確認する
いったん尿タンパクが改善しても、病型によっては再発します。むくみが減ったことだけで薬を中止しないでください。尿検査、血液検査、血圧、体重などのうち家庭で記録する項目と、再診・連絡のタイミングを確認します。検査結果と服薬の経過を持参し、寛解を維持する治療と副作用を減らす方法を相談しましょう。