概要
MRSAは、メチシリンなど一部の抗菌薬が効かない黄色ブドウ球菌です。鼻や皮膚に菌がいるだけの『保菌』と、菌が組織に入り症状を起こす『感染症』は違います。感染すると皮膚の赤み・痛み・膿、手術創の悪化のほか、肺炎、骨・関節感染、血流感染などが起こります。入院中や医療器具を使用している人、免疫が低下した人は重症化に注意が必要ですが、地域で皮膚感染を起こすこともあります。発熱と強いだるさ、急な息苦しさ、意識の変化、急速に広がる皮膚の赤みは速やかに受診してください。
原因
MRSAは黄色ブドウ球菌の一種で、耐性のため通常の抗菌薬の一部が効きません。手指、傷、医療器具などを介する接触が広がりの主な経路で、体にすでにいる菌が傷などから感染を起こす場合もあります。鼻、痰、尿、皮膚の培養で見つかっただけでは感染症とは限りません。医師は熱や炎症、感染が疑われる場所、検体の採り方を確認し、培養と薬剤感受性の結果を症状と合わせて判断します。古い集計の一律の耐性菌割合を、現在の個人の危険度として使うことはできません。
治療法
症状のない保菌だけなら、通常は抗菌薬による治療は不要です。ただし手術前など特別な状況では医療チームが除菌を検討することがあります。MRSAが真の原因と判断された感染症では、感染部位と重症度、薬剤感受性、腎機能などに合わせて抗MRSA薬を選びます。皮膚に膿がたまった場合は切開・排膿などの処置が必要になることもあります。薬を自己判断で使わず、病院や介護の場では手指衛生と医療スタッフが示す接触予防策に従ってください。
保菌と感染症を分ける
培養で菌が見つかっても、症状や感染部位によっては治療対象ではありません。
どの検体から検出されたか確認
傷、血液、痰などの採取部位と症状を合わせ、培養・感受性で薬を選びます。
全身状態の悪化は速やかに受診
高熱、急な息苦しさや意識の変化、広がる皮膚の赤みは早急に評価が必要です。
手指衛生と接触予防策を守る
手洗い・手指消毒を続け、医療機関ではスタッフの示す接触対策に協力します。