概要
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、以前できていた仕事・学業・日常の活動が大きく難しくなる病気です。中心的な特徴は、以前なら問題なかった身体的・精神的な活動の後に症状が悪化する「労作後の症状悪化(PEM)」です。悪化が翌日以降に現れ、数日以上続くこともあります。休んでも回復しない疲労や、眠ってもすっきりしない感覚、集中力の低下、立つとつらくなる症状などもみられます。単なる疲れや気の持ちようではありません。診断基準では活動低下が6か月を超えることを重視しますが、日常生活に支障が出ているなら診断基準の期間を待たずに受診してください。
原因
原因はまだ特定されていません。感染症の後に始まる人もいますが、特定の病原体が全員の原因と証明されたわけではありません。診断を確定する単独の血液検査もありません。医師は症状の経過、活動後の悪化、睡眠や立位での症状、生活への影響を聞き、診察と必要な検査で貧血、甲状腺疾患、睡眠障害、薬の影響など別の原因を調べます。通常の検査で異常が見つからない人も多く、検査が正常というだけで症状がないことにはなりません。ほかの病気や心の不調が併存する場合は、それぞれ評価と治療を受けます。
治療法
ME/CFSを治すと確認された単一の薬や治療法はありません。まず本人が特につらい症状と生活上の支障を医療者と共有し、睡眠、痛み、立ちくらみ、併存する病気などを個別に扱います。PEMがある場合は、活動と休息の記録をつけて悪化しやすい量を把握し、身体・認知活動をその範囲に調整する方法(ペーシング)を相談します。調子のよい日に無理をして翌日に崩れる繰り返しを避けることが大切です。運動量を決まった幅で増やす方法や、一般の健康づくりと同じ運動を自己判断で始めると悪化することがあるため、活動は症状に合わせて調整します。薬や補助療法の利益と不利益は個別に確認してください。
活動の後、遅れて悪化するかを記録
身体を動かした後だけでなく、考える作業や人との会話の後にも悪化することがあります。何をしたか、悪化までの時間、回復に要した日数をメモします。
6か月待たずに相談する
仕事・学業・家事が続けられないほどの疲労や活動後の悪化がある場合は受診します。6か月という診断基準は、受診を先延ばしにする理由ではありません。
検査が正常でも症状と生活の変化を伝える
確定する単独検査はありません。医師は似た症状の病気や薬の影響を確認します。通常の検査が正常でも、活動後の悪化や睡眠、立位での症状を具体的に伝えます。
無理を重ねない活動調整
症状と活動の記録から個人の許容範囲を探り、休息を組み込みます。調子のよい日に一度に取り返そうとする活動は、後から強い悪化を招くことがあります。
困っている症状から一緒に対処
睡眠、痛み、立ちくらみや併存疾患など、生活に最も影響する問題から相談します。決まった量だけ運動を増やす自己流の方法は避け、活動は症状に合わせます。