概要
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、免疫反応に伴って脳や脊髄の神経を覆う髄鞘(ずいしょう)が傷つく炎症性の病気です。子どもに多く、感染症の後に発症することがあります。数時間から数日の間に、眠気や意識の変化、ふらつき、手足の力が入りにくい、見えにくい、けいれんなどが現れます。こうした急な神経症状は脳炎など別の緊急の病気でも起こるため、救急受診してください。回復の速さや後遺症には個人差があり、「数週間で必ず治る」とは言えません。
原因
ADEMは感染症後にみられることが多い一方、明確なきっかけのない例もあります。ワクチン接種後に報告されることはありますが、接種後に起きたというだけで接種が原因と証明されたわけではありません。厚生労働省も感染後や原因不明のADEMが偶然接種後に起こりうるため、因果関係の判断は難しいと説明しています。診断ではMRIを中心に、血液・髄液検査などで脳炎を含む感染症や似た病気を調べます。
治療法
急な意識障害やけいれん、運動・視覚の異常があれば入院を含む専門的な評価が必要です。感染性脳炎が否定できない段階では、その治療を先に始めることがあります。ADEMと判断された場合は、症状と検査結果に応じてステロイド薬の点滴を行い、改善が乏しければ別の免疫治療を専門医が検討します。回復後も視力、力の入り方、集中力などを確認し、必要に応じてリハビリテーションや再診を受けます。再び神経症状が出た場合は病型の再評価が必要です。
急な神経症状は救急で評価
強い眠気や意識の変化、けいれん、歩けない、手足に力が入らない、急に見えにくい場合は原因を自己判断せず救急受診します。
接種後に発症しても因果関係は別に評価
ADEMは感染後や原因が特定できない場合にも起こります。接種との時間的な前後関係だけで原因を断定せず、接種歴と感染歴を医師に伝えます。
MRIと髄液などで似た病気を除く
脳・脊髄のMRIが重要で、血液・髄液検査を加えて感染性脳炎などを評価します。感染症が疑われる間はその治療を先に始めることもあります。
ステロイド点滴と回復後の評価
ADEMと判断された後はステロイド点滴などを行い、回復に応じて視力や運動などを再評価します。改善が乏しい場合は専門チームが追加治療を検討します。
再び症状が出たら病型を見直す
多くの子どもは一度の発作で終わりますが、少数では再発性の病気が疑われます。新たな視力・運動・意識の変化は予定を待たず相談します。