概要
甲状腺炎は、首の前側にある甲状腺に炎症が起こる病気の総称です。橋本病(慢性甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、無痛性・産後甲状腺炎、感染による急性化膿性甲状腺炎などがあります。首の痛みがない甲状腺炎もあります。
炎症で貯蔵されていたホルモンが血液へ漏れ出すと、動悸、汗が多い、体重減少などが起こります。その後にホルモンが不足して、疲れやすさ、寒がり、便秘などが出る場合もあります。ホルモン値が正常に保たれる人もおり、病型と時期によって経過が異なります。
原因
自己免疫による炎症、ウイルスなどとの関連が疑われる炎症、細菌感染、薬などが関わります。すべての甲状腺炎が感染症というわけではありません。妊娠・出産後に甲状腺の働きが変動することもあります。
症状や発症時期、薬、血液検査、超音波などから病型を確認します。血中のホルモンが多いだけでは、甲状腺が過剰にホルモンを作るバセドウ病と、炎症でホルモンが漏れ出す状態を区別できません。
治療法
病型に合わせて治療します。ホルモン不足には補充療法、強い動悸には症状を抑える薬、亜急性甲状腺炎の痛み・炎症には抗炎症薬やステロイド薬などを検討します。細菌感染では抗菌薬や膿を排出する処置が必要です。
ホルモンが漏れ出す破壊性甲状腺炎では、ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を通常使いません。ホルモン値が正常で特別な治療をしない場合も、必要な経過観察を相談してください。
血液検査と超音波は何を調べるか
TSHと遊離T4などで現在の甲状腺の働きを調べ、自己抗体、炎症反応、超音波などで病型を判断します。すべての検査を全員に行うわけではありません。 『甲状腺炎のどの病型か』『ホルモンが漏れ出す時期か、不足する時期か』『次の採血はいつか』を確認すると、治療や経過観察の目的を理解しやすくなります。薬の一覧と妊娠・授乳の状況も伝えてください。
首の痛みと発熱を自然経過と決めつけない
首の腫れや強い痛み、発熱がある場合は早めに受診してください。感染による甲状腺炎など、早急な治療が必要な病気との区別が大切です。急な息苦しさや呼吸のしにくさがある場合は救急対応が必要です。 痛みがない場合も、動悸や強い疲れやすさなどが続けば相談しましょう。痛みやホルモン値が改善した後も、必要な再検査を確認してください。