概要
慢性甲状腺炎は橋本病とも呼ばれ、自己免疫によって甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。甲状腺が腫れることがありますが、ホルモンの量が正常で症状の目立たない人も多く、必ず甲状腺機能低下症になるわけではありません。
ホルモンが不足すると、疲れやすさ、寒がり、むくみ、便秘、体重増加などが現れることがあります。症状はほかの病気とも似るため、血液検査などで確認します。一時的にホルモンが血液へ漏れ出し、動悸などが出る無痛性甲状腺炎を起こすこともあります。
原因
自分の甲状腺に対する免疫反応が関係しますが、なぜ起こるかは十分に分かっていません。診断では抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体など、甲状腺の状態を調べます。
ヨウ素の過剰摂取などが甲状腺の働きに影響する場合があります。普通の食事を一律に制限するのではなく、昆布などの大量摂取、サプリメント、薬や検査で使ったものを伝えて相談してください。
治療法
甲状腺の働きが正常であれば、原則としてホルモン薬は不要で、定期的に状態を確認します。甲状腺機能低下症になった場合は、レボチロキシンなどで不足するホルモンを補います。
TSHだけが高く遊離T4が正常という潜在性甲状腺機能低下症では、検査値、年齢、症状、妊娠の希望などを合わせて治療を判断します。補充量は採血などで調整するため、自己判断で中止・増減しないでください。
抗体陽性とホルモン不足は別に確認する
自己抗体の検査は橋本病の判断に、TSH・遊離T4などは現在のホルモンの過不足の判断に使います。抗体が陽性というだけで、直ちに補充薬が必要になるわけではありません。 前回からの値の変化、次の採血の時期、治療を始める条件を確認しましょう。首の腫れが急に大きくなる場合は、定期診察を待たず主治医へ連絡してください。
妊娠希望・妊娠判明・出産後は相談する
妊娠を希望する場合は、事前に甲状腺の働きと薬を確認します。妊娠中はホルモンの必要量が変わるため、妊娠が分かったら早めに主治医へ連絡し、薬の調整や採血予定を相談してください。 出産後にも働きが変化することがあります。産科と甲状腺の主治医で検査結果を共有し、出産後・授乳中の服薬と再診予定も確認しましょう。具体的な目標値や増量は個別の指示に従います。
食事や薬について伝えること
昆布やヨウ素入り製品を多量に摂取していないか、服用している薬・サプリメントを診察で確認します。必要以上に食事を制限しないよう、控えるものと量を具体的に相談してください。 薬を使っていない場合も、機能が変わっていないか経過観察が必要です。疲れやすさや動悸などの変化があれば、いつからどの程度続くかを伝えましょう。