概要
ボツリヌス食中毒は、食品中で作られたボツリヌス毒素を食べて起こる、まれですが命に関わる食中毒です。吐き気や腹痛だけでなく、物が二重に見える、まぶたが下がる、話しにくい、飲み込みにくい、手足の力が入らない、息苦しいといった神経症状が重要です。疑わしい食品を食べてこれらの症状が出たら、下痢がなくても119番に連絡するなど直ちに救急受診してください。診断検査を待って治療を遅らせないことが大切です。
原因
ボツリヌス菌は酸素の少ない環境で増え、保存や加工が不適切な瓶詰・缶詰・真空包装・発酵食品などで毒素を作ることがあります。食品を食べて毒素が作用する病態と、1歳未満の乳児が蜂蜜などに含まれる芽胞を取り込み、腸内で毒素が作られる乳児ボツリヌス症は区別します。食品の見た目やにおいだけで毒素の有無は分かりません。
治療法
救急医療では呼吸機能を注意深く監視し、必要なら人工呼吸器で支え、専門家の判断で抗毒素を早期に投与します。抗毒素はこれ以上の麻痺の進行を抑える目的で、既に起きた麻痺を直ちに戻す薬ではありません。疑いが強ければ検査の確定を待たず対応します。医療者に食品名、食べた時刻、同じ食品を食べた人、残った食品を伝えてください。乳児には1歳になるまで蜂蜜を与えず、保存方法が不明な密封食品は味見しないでください。
複視・まぶたの下がり・飲み込みづらさは救急
物が二重に見える、まぶたが下がる、言葉が不明瞭、飲み込みにくい、力が入らない、息苦しい場合は、下痢がなくても直ちに119番に連絡して救急評価を受けてください。
検査の確定を待って治療を遅らせない
ボツリヌス症が疑われるときは、医療者が症状から判断して呼吸管理と抗毒素の手配を進めます。検査結果を待って自己判断で様子を見る病気ではありません。
抗毒素は進行を抑える治療
抗毒素は血中の毒素を中和して麻痺の進行を抑えます。既に起きた麻痺をその場で元に戻すものではなく、回復に時間がかかることがあります。
疑わしい食品と同席者を伝える
密封・発酵・保存食品などの食品名、食べた時刻、同じものを食べた人の体調を救急医療者に伝えてください。残りの食品があれば勝手に食べたり捨てたりせず、保健所・医療者の指示を受けます。
保存不明の密封食品を味見しない
膨張・漏れなど異常がある食品や保存条件が分からない密封食品は食べず、味見で確かめないでください。乳児ボツリヌス症の予防には1歳未満に蜂蜜を与えません。