概要
尿崩症は、尿を濃くして体に水分を保つ仕組みがうまく働かず、薄い尿が大量に出る病気です。強い喉の渇きや多飲、夜間も続く多尿がみられます。
抗利尿ホルモン(バソプレシン/ADH)が不足する中枢性と、腎臓がホルモンに十分反応しない腎性などがあります。尿量だけで診断できず、糖尿病による多尿や、多く水を飲むことによる多尿などと区別します。尿崩症そのものは血糖の上昇による病気ではありません。
原因
中枢性では、視床下部や下垂体に関わる腫瘍、炎症、手術・頭部外傷、遺伝などが原因となり、原因不明の場合もあります。腎性では遺伝のほか、薬剤、高カルシウム血症や低カリウム血症などが関わります。
妊娠中には、胎盤の酵素によりホルモンが分解されやすくなる妊娠性尿崩症がまれに起こります。妊娠中の多尿をすべて腎性と扱うのは適切ではありません。
治療法
中枢性では、必要に応じてホルモンの働きを補うデスモプレシンなどを使います。腎性では原因の是正や尿量を減らす薬などを検討します。病型に合わせて、脱水を防ぎながら治療します。
多尿を減らすために自己判断で水を断つことは危険です。一方、デスモプレシンが効いている間に過剰に飲むと低ナトリウム血症を起こすことがあるため、薬と水分の取り方は個別に確認します。
多尿の記録と検査の目的
いつから、どのくらい飲み、どのくらい尿が出るか、夜間の回数、使っている薬を記録して受診します。採血・尿検査で血糖、ナトリウム、血液と尿の濃さなどを確認します。専門的な負荷試験やMRIが必要になる場合もあります。検査の組み合わせは病状で異なります。
水制限試験を自宅でまねしない
診断のために飲水を制限する検査を行う場合は、医療者が体重・尿・血液などを確認しながら実施します。自宅で『飲まずに尿が止まるか』試さないでください。心臓や腎臓などの病気で水分量の指示がある人は、自己判断で増減せず、多尿が出たことを医療機関へ伝えて調整します。
飲めない・意識がおかしいとき
大量の尿が出るのに水分を取れない、嘔吐が続くなどの場合は速やかに医療機関へ相談してください。強い脱力、意識の異常、けいれん、倒れた場合は119番へ連絡します。受診時には、尿崩症の病名と薬、飲水・尿量の変化を伝えます。