概要
ループス腎炎は、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴って腎臓に炎症や障害が起こる病気です。尿タンパク、血尿、むくみなどが見られ、ネフローゼ症候群や腎機能低下を来すこともあります。SLEによる発熱、だるさ、関節や皮膚の症状を伴う場合もありますが、腎臓の異常は自覚症状が乏しいことがあります。尿・血液検査と、必要な腎生検で病型や活動性を調べます。
原因
SLEにおける免疫の異常が、糸球体などの腎臓の障害に関係します。腎臓の傷み方や炎症の強さは患者ごとに異なり、すべてのSLE患者に同じ腎障害が起こるわけではありません。SLEの患者に尿や腎機能の異常が出た場合も、薬、高血圧、糖尿病など別の原因がないか評価します。抗体や補体の数値だけで病状を決めず、尿・腎機能・症状・組織所見を合わせて判断します。
治療法
腎臓の病型、炎症の活動性とすでにある傷み、腎機能、尿タンパク、全身のSLEの状態を踏まえて治療します。ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などを必要に応じて組み合わせ、血圧・尿タンパクを抑える腎保護の治療も検討します。改善後も再燃を防ぐ治療と検査が必要です。薬の効果と副作用を確認し、腎臓内科・リウマチ膠原病の診療科と共同で計画します。重い腎機能低下では透析・腎移植などについて専門医と相談します。
尿量・むくみ・呼吸や意識の急な変化を伝える
通院中でも尿が明らかに減る、むくみや体重が急に増える、強いだるさなどが出たら、予約を待たず治療先へ連絡します。発熱をすべてSLEの悪化と決めつけず、免疫を抑える治療中は感染についても早めに相談してください。急な息苦しさ、意識がおかしい、けいれんなどは119番です。自分の薬と病状に合わせた連絡先を確認しましょう。
尿・腎機能の経過と、腎生検の目的を確認
尿タンパクや血尿、クレアチニンなどの腎機能に加え、補体・自己抗体などを調べます。腎生検では組織の病型や活動性、傷みの程度を確認し、治療の選択に役立てます。検査の必要性と出血などの危険、薬の調整を相談してください。血液を固まりにくくする薬も自分で中止しません。尿に異常があるとき、症状がないからという理由で検査を見送らないでください。
炎症を抑える治療と、腎機能を守る治療を共有
同じ病名でも、腎生検の病型や腎機能、全身の症状により治療が異なります。どの薬が炎症を抑え、どの薬が血圧や尿タンパクを管理するか、効果をいつ何の検査で確かめるかを確認します。効きが不十分な場合は飲めているか、副作用、別の原因や再検査も検討します。新薬や海外の治療情報をもとに自己判断で変更せず、選択肢と自分の希望を担当医へ伝えましょう。
改善しても薬を急に止めず、副作用への備えを
治療が長期になる場合は、感染、骨や代謝への影響など、薬ごとの注意点と必要な検査を確認します。ステロイドを自分で急に中止したり減らしたりしないでください。予防接種や感染の検査・予防薬が必要かも相談します。飲み忘れ、飲めない日、市販薬・サプリメントの使用を伝え、薬が多いと感じるときも医師・薬剤師と続けやすい方法を考えます。
妊娠を考える場合は、前もって病状と薬を相談
妊娠を希望するときは、腎臓の炎症と全身の病状、腎機能、薬を治療先と産婦人科へ事前に相談します。妊娠中に使えない薬があり、変更の時期と病状を保つ方法を計画します。妊娠が分かった場合も、薬を全部中止せず速やかに連絡してください。避妊や将来の妊娠、生殖機能への影響も治療を選ぶときに共有できます。
症状と尿タンパク・腎機能を追い、日常生活を調整
症状が軽くなっても、尿タンパク・腎機能・血圧などを定期的に確認します。次の検査日と治療目標を共有し、複数の診療科で薬と結果を確認できるようにしましょう。食事・水分・運動は腎機能、栄養、体力と病状に合わせます。全員に同じ厳しい制限や長い安静を当てはめず、管理栄養士などとも相談します。学校・仕事の配慮や、小児から成人の診療への引き継ぎも計画します。