概要
甲状腺機能亢進症は、甲状腺がホルモンを過剰に作る状態です。代表的な原因はバセドウ病ですが、ホルモンを作る結節などによっても起こります。
動悸、汗が多い、暑がり、手のふるえ、体重減少、疲れやすさ、下痢などがみられます。バセドウ病では目の突出や二重に見えるなどの眼症状を伴うことがありますが、全員に出るわけではありません。症状だけで診断せず、採血などで確認します。
原因
バセドウ病では、自分の甲状腺を刺激する抗体によりホルモンの産生が増えます。機能性甲状腺結節では、結節がホルモンを自律的に作ります。
血中ホルモンの作用が過剰な状態を甲状腺中毒症と呼び、その中には炎症で貯蔵ホルモンが漏れ出す破壊性甲状腺炎もあります。この場合はホルモンの作りすぎと治療が異なります。妊娠初期に一時的に機能が亢進する場合もあり、原因の確認が必要です。
治療法
原因に合わせて治療します。バセドウ病では抗甲状腺薬、放射性ヨウ素内用療法、手術を、病状、目の状態、妊娠予定、本人の希望などから選びます。炎症でホルモンが漏れ出している場合に、同じ抗甲状腺薬を使うわけではありません。
放射性ヨウ素治療後にホルモンが不足する場合や、甲状腺を全摘した場合は補充療法が必要です。『10年以上たってからだけ起こる』ものではなく、治療後の採血で確認します。
原因と治療効果を確認する検査
TSH、遊離T4・T3などでホルモンの状態を、TRAbなどの抗体でバセドウ病の可能性を確認します。必要に応じて超音波やシンチグラフィーなどを追加します。服用中の薬やサプリメント、妊娠・授乳の状況も伝えてください。 治療中はホルモンの値に加え、副作用を確認する採血も必要です。症状が改善しても、自己判断で薬を中止・増量しないでください。
抗甲状腺薬を飲んでいるときの発熱・のどの痛み
チアマゾールなどの抗甲状腺薬では、感染から体を守る白血球の一種が減る無顆粒球症が起こることがあります。発熱、強いのどの痛み、だるさなどがあれば、かぜと思って待たず、直ちに処方元へ連絡して受診してください。服用中の薬の名前を必ず伝えます。 開始直後だけでなく、その後も必要な検査を受けます。副作用が疑われるときの休薬・再開は医療機関の指示に従い、連絡がつかない場合は救急外来などに相談してください。
妊娠の計画・目の症状・運動を相談
妊娠を希望する段階で薬と治療法を相談してください。妊娠が分かった場合も早めに連絡し、薬を勝手に止めないでください。放射性ヨウ素の治療は妊娠中・授乳中には行いません。 目の症状はホルモン値の改善だけで治まらないことがあり、眼科の評価を相談します。禁煙も大切です。ホルモンが高い時期の強い運動は避け、再開の目安を確認してください。
高熱と意識の変化・呼吸困難は救急対応
高熱、非常に速い脈、意識がもうろうとする、呼吸が苦しいなどが重なる場合は、甲状腺クリーゼなどの重い状態が考えられます。意識の異常や強い呼吸困難では119番へ連絡し、甲状腺の病気と使用薬を伝えてください。