概要
遺伝性球状赤血球症は、赤血球の膜を支えるたんぱく質の異常で、赤血球が丸くなり、主に脾臓で壊れやすくなる病気です。貧血、黄疸、脾臓の腫れがみられますが、軽症で大人になるまで気づかない人もいます。
長く赤血球が壊れることで胆石ができる場合があります。また、感染をきっかけに貧血が悪化することがあり、特にパルボウイルスB19感染では赤血球をつくる働きが一時的に止まり、急な強い貧血になることがあります。
原因
赤血球の膜の構造や形を保つ、複数のたんぱく質に関わる遺伝子の変化が原因になります。丸くなった赤血球は変形しにくく、脾臓で血液をろ過する過程で取り除かれやすくなります。
親から受け継ぐ場合も、家族に同じ病気の人がいない場合もあります。原因はスペクトリン一種類の不足に限られません。本人の検査や家族歴を踏まえて診断し、家族への影響や検査の必要性は専門医に相談します。
治療法
貧血の程度、成長や生活への影響、輸血の必要性、胆石などの合併症を踏まえて治療を選びます。軽症では経過をみることもあり、必要に応じて輸血や葉酸補充を行います。重症の場合などには、赤血球が壊れる量を減らすため脾臓摘出を検討します。
手術をすべての患者に行うわけではありません。脾臓を取ると感染に対する備えが重要になるため、手術時期、予防接種、抗菌薬の必要性、発熱時の受診方法を事前に相談します。手術後も感染予防や合併症の経過確認を続けます。
普段より急に青白い・ぐったりしたとき
感染の後などに急に顔色が悪くなる、強いだるさ、食事や哺乳が進まない、黄疸の悪化があれば、担当医へ早急に連絡してください。パルボウイルスB19感染などによる急な貧血の確認が必要です。急な呼吸困難や意識の異常は119番へ。体調変化の時期、発熱、周囲の感染状況を伝えましょう。
診断と合併症の確認
血球の数や溶血を示す検査、顕微鏡で見た赤血球の形、家族歴などを組み合わせて判断します。必要に応じて赤血球の膜の性質を調べ、免疫による溶血など別の病気との区別も行います。家族に同じ病名がなくても否定はできません。腹痛がある場合は、胆石などの確認についても相談してください。
脾臓摘出後の発熱にはすぐ対応
脾臓摘出後は、重い感染が急速に進むリスクが続きます。発熱や感染を疑う症状があれば早急に医療機関へ相談し、『脾臓を摘出している』と伝えてください。必要な予防接種、抗菌薬の使い方、夜間の連絡先を平常時に確認します。薬やワクチンの予定は年齢や接種歴、国内の診療に合わせて決め、海外の接種間隔をそのまま使わないでください。
通院・運動について相談する
症状が落ち着いていても、貧血や胆石などの経過を担当医と確認します。脾臓が大きい場合は腹部への衝撃を避ける必要があるため、接触のあるスポーツなどの可否を相談してください。お腹を強く打った後の痛みは早急に受診を。学校や外出先で体調が悪くなった場合の対応と連絡先も、家族や担当医と共有しておきましょう。