概要
多血症(赤血球増加症)は、血液検査でヘモグロビン(Hb)やヘマトクリット(Ht)が高い状態を指す言葉です。脱水などで血液の液体成分が減り、赤血球が相対的に濃く見える場合と、赤血球の量が実際に増える場合があります。後者には骨髄の病気である真性多血症(PV)と、喫煙や慢性的な低酸素などに伴う二次性赤血球増加症があります。高値だけでPVと決まるわけではありません。無症状で健診から見つかることもありますが、原因を見極め、必要な治療を受けることが大切です。
原因
相対的な増加は脱水などで血漿量が減ることが原因です。真性多血症は骨髄増殖性腫瘍の一種で、多くの患者にJAK2遺伝子の後天的な変化がみられます。二次性では喫煙、肺や心臓の病気に伴う低酸素などが原因になり、ほかの原因も調べます。頭痛、めまい、皮膚のかゆみなどを伴う場合がありますが、症状だけでは種類を区別できません。
治療法
健診で高値を指摘されたら、内科または血液内科に結果を持参し、再検査や原因の評価を受けます。Hb・Htに加え白血球・血小板、脱水・喫煙歴、酸素不足などを確認し、必要に応じてエリスロポエチン、JAK2、骨髄を調べます。相対的な増加では脱水などの原因を対処し、二次性では喫煙や低酸素の原因疾患を治療します。PVでは血栓症を防ぐため、瀉血でHt45%未満を目標とし、出血リスクなどを確認して低用量アスピリンを検討します。60歳以上または血栓症の既往がある高リスク群では細胞減少療法も用います。低リスク群全員に薬物による細胞減少が必要なわけではなく、治療は血液内科で個別に決めます。PVの目標値や薬を二次性の人に自己判断で当てはめないでください。
健診で高値を指摘されたら
検査票のHb・Ht、赤血球・白血球・血小板の値を持参して内科または血液内科へ相談してください。一度の高値だけで真性多血症とは診断できません。脱水や喫煙の有無、以前の検査値も判断材料になります。
見かけの増加と実際の増加を分ける
下痢・嘔吐や発汗などに伴う脱水では赤血球の量が増えていなくてもHb・Htが高くなります。ただし「相対的だから問題ない」と自己判断せず、数値が続くときは原因を調べてください。
PVと二次性では治療が違う
PVは骨髄の病気で血栓予防が治療の中心です。二次性では喫煙や低酸素を来す肺・心臓の病気などを評価し、原因に対処します。PV向けの瀉血目標や薬を、そのまま二次性に適用するものではありません。
PVの血栓リスクで治療を調整する
日本血液学会の2024年版では、PVで60歳以上または血栓症の既往がある場合を高リスクとします。瀉血と、出血リスク等を確認したうえでの低用量アスピリンを基本に、高リスクでは細胞減少療法を追加します。低リスクの全員に細胞減少薬が必要なわけではありません。
突然の片側の脱力や強い胸痛は119
多血症の診断の有無にかかわらず、突然片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない、強い胸の痛みや息苦しさが出た場合は119に連絡してください。血栓症などの緊急疾患の評価が必要です。
治療中は数値と症状を継続確認
PVでは治療中のHtや血球数、出血・血栓を疑う症状を主治医と確認します。瀉血や薬の中断・開始、アスピリンの自己服用は避け、血圧や喫煙などの血管リスクも相談してください。