昏睡になるまで待たない
呼びかけへの反応が悪い、意識を失う、けいれん、深く速い呼吸や強い息苦しさがある場合は119番へ連絡してください。意識が悪い人の口に水や食べ物を入れないでください。 糖尿病のある人で吐き続けて水分がとれない、腹痛や強いだるさがある、ケトン体が高いと指示された場合は、意識がはっきりしていても速やかに医療機関へ連絡・受診してください。測定をするために救急要請を遅らせる必要はありません。
概要
糖尿病性昏睡という名称は、高血糖に伴う重い急性合併症を指す際に使われてきました。現在は、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)や高浸透圧高血糖状態(HHS)など、具体的な病態を分けて説明します。いずれも昏睡になる前から緊急の治療が必要です。
DKAでは強いのどの渇き、尿の増加、だるさに、吐き気・腹痛・深く速い呼吸などが加わることがあります。HHSでは著しい高血糖と脱水が進み、反応が鈍くなるなどの意識障害を起こすことがあります。
一方、インスリンなどの治療中は、低血糖でも意識を失うことがあります。高血糖の緊急症と低血糖では対応が異なるため、意識障害の原因を家庭で決めつけないでください。
原因
DKAはインスリンの不足によりケトン体が増え、血液が酸性に傾く状態です。1型糖尿病の発症時やインスリンの中断、感染症などがきっかけになりますが、2型糖尿病でも起こります。HHSは特に高齢の2型糖尿病の人に多く、感染症や脱水などが誘因になります。糖尿病が未診断の人にも起こり得ます。
SGLT2阻害薬を使用している場合などには、血糖値が非常に高くなくてもDKAが起こることがあります。血糖の数字だけで安心することはできません。
治療法
DKAやHHSは医療機関で、脱水、水分・電解質、血糖、ケトン体や血液の酸性度、全身の状態を評価しながら治療します。輸液やインスリンを適切に調整し、感染症などの誘因も治療します。カリウムなどの電解質の変化にも注意が必要です。
重い低血糖では、ブドウ糖やグルカゴンなどによる別の対応が必要です。意識障害のある人にインスリンを追加したり、飲食物を無理に飲ませたりしないでください。応急処置を行っても、重い低血糖は再発する場合があるため医療機関での評価が必要です。
血糖値以外にも確認すること
DKAとHHSは、血糖値だけでは区別できません。医療機関ではケトン体、血液の酸性度、電解質、腎臓の働きなどを調べ、脱水や意識・呼吸の状態と合わせて評価します。低血糖やほかの病気による意識障害も確認します。 受診時は、使っている薬、最後にインスリンを使った時刻、測定記録、発熱・嘔吐・飲水量の変化が分かれば伝えてください。記録がなくても受診を優先します。
体調不良の日の対応を事前に決める
発熱、嘔吐、下痢などで普段どおり食べられない日をシックデイと呼びます。薬ごとに必要な対応が違うため、体調不良時に続ける薬・休む薬、血糖やケトン体を確認する方法、連絡先を主治医と決めておきましょう。 特にインスリンが不可欠な人では、食べられないからと自己判断ですべてのインスリンを中止することは危険です。食事や水分がとれないときは早めに連絡し、事前の計画に従って対応してください。