概要
ハートナップ病は、腸と腎臓で特定のアミノ酸を運ぶ働きに障害がある、まれな遺伝性の病態です。尿に中性アミノ酸が多く出ますが、症状のない人も多くいます。症状が出る場合は、日光に当たる部位の発疹、動作や歩行のふらつき、気分や行動の変化などが一時的に現れることがあります。小児期に気づかれることが多いものの、全員が乳幼児期から重い症状を示すわけではありません。
原因
SLC6A19という遺伝子に関わる中性アミノ酸輸送の障害が原因です。トリプトファンなどを十分に吸収・再吸収できず、そこから作られるナイアシン(ビタミンB3)の不足などが症状に関わります。栄養不足、病気や発熱、ストレスなどで症状が誘発される場合があります。遺伝する病態と、実際に症状が出るきっかけを分けて考えます。
治療法
栄養状態を保ち、日光による皮膚症状への対策を行います。必要に応じて、医師の管理のもとでニコチン酸アミドなどを用い、症状と栄養を確認します。歩行や気分などの変化も評価し、必要な診療を組み合わせます。多くの場合の見通しは良好ですが、症状と治療の必要性には差があり、自己判断でビタミンを大量に飲むことは避けます。
発疹やふらつきだけで診断しない
同じような症状には別の原因もあります。尿で中性アミノ酸の排泄を調べ、症状や家族の情報と合わせて評価します。遺伝子の検査を検討する場合もあります。検査で見つかっても症状がない場合があるため、結果の意味と、今後確認することを説明してもらいましょう。
食べられない時期の対応を決めておく
必要な栄養とたんぱく質を確保することが大切です。食事が偏る、下痢や発熱で食べられないなどの場合は担当医に相談します。年齢や他の病気も踏まえ、医師や管理栄養士と日常の食事を確認してください。体重の推移や食べられなかった期間を記録すると相談に役立ちます。
ビタミンの種類と必要性を確認
医師がニコチン酸アミドなどの補充を検討します。市販のビタミンB群を多く飲めば同じ治療になるわけではありません。使う種類、量、続ける期間と効果の確認を聞いてください。すでに使っているサプリメントも伝え、重複や自己流の増量を避けます。
衣服と日焼け止めなどで日光対策
日光で皮膚症状が起こる場合があります。衣服、帽子、日焼け止めなどを組み合わせ、無理なく日光を避ける方法を相談しましょう。新しい発疹や皮膚の変化は、現れた時期と日光・体調との関係を伝えて診てもらいます。
急な意識の変化やけいれんは119番
意識がおかしい、倒れる、けいれん、呼吸の異常などは119番です。急に歩けない・ふらつく、気分や行動が大きく変わる場合も早急に医療機関へ相談・受診します。すべてをハートナップ病のいつもの症状と決めず、いつから何が変わったかを伝えてください。
本人の見通しと家族の相談を分ける
多くは良好な生活を送れますが、症状が出る時期や程度には差があります。再診、栄養と治療の確認、悪化時の連絡先を決めておきましょう。本人や家族が遺伝・妊娠について知りたい場合は、専門医や遺伝カウンセリングへ相談します。家族に症状がないことだけで、遺伝の関わりを否定しません。