概要
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺炎や敗血症、大きなけがなどをきっかけに肺全体に強い炎症が起き、肺胞に液体がたまって急に酸素を取り込みにくくなる重い病態です。原因となる病気の発症後、数時間から数日で強い息苦しさや速い呼吸が現れることがあります。呼吸が苦しい場合は直ちに救急の評価が必要です。
原因
肺炎や誤嚥など肺への直接の障害、敗血症や重症外傷など全身の炎症が原因になります。医療者は酸素化、胸部画像、発症までの経過を合わせ、心不全による肺水腫など似た状態と区別します。ARDSは急性呼吸不全を起こす原因の一つであり、すべての急性呼吸不全がARDSとは限りません。
治療法
集中治療で原因疾患を治療しながら、酸素と必要な呼吸補助を行います。人工呼吸器が必要な場合は肺を傷めにくい少ない換気量を用い、重症例ではうつ伏せにする腹臥位療法を行います。ステロイド、筋弛緩薬、ECMOは病状によって専門チームが検討する選択肢で、全員に一律に行うものではありません。利尿薬や血管拡張薬をARDSそのものへの標準治療として用いるわけではなく、水分管理や他の病態に応じて判断します。退院後も体力や呼吸機能の回復を確認します。
旧称からARDSへ病名を整理
成人型呼吸促迫症候群という旧名は現在の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対応します。
強い呼吸困難は直ちに救急へ
肺炎や敗血症などの後に呼吸が急に悪化したら、家庭で経過を見ず救急の評価を受けます。
原因治療と肺を守る呼吸管理
原因疾患の治療に加え、肺保護換気や重症例の腹臥位などを集中治療で選びます。
退院後の回復も確認
体力や呼吸機能の回復には時間がかかることがあり、フォローを続けます。