概要
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバという原虫による感染症です。下痢、腹痛、粘液や血液の混じる便、便意が続く「しぶり腹」などが起こりますが、症状がない人もいます。細菌性赤痢とは原因となる病原体が違い、治療も異なります。腸以外では肝臓に膿瘍ができることがあり、発熱や右上腹部の痛みが手がかりになる場合もあります。
原因
感染者の便に含まれる原虫の嚢子が口に入ることで感染します。汚染された飲食物や手指、性的接触で便が口に入る行為などが経路です。海外渡航歴がなくても国内で感染し、性的指向や性別だけで感染の有無を判断できません。診察では渡航歴や症状に加え、感染の可能性がある行為を必要な範囲で医師に伝えます。
治療法
便の検査などで原因を確認し、赤痢アメーバ症に対する抗原虫薬のメトロニダゾールで治療します。その後、腸内に残る原虫へのパロモマイシンによる治療が推奨されています。治療後は便の再検査などで確認します。重い大腸の炎症や穿孔が疑われる場合は専門施設で緊急の評価が必要です。症状がなくても病原性のある原虫が確認された場合には治療の対象になります。
血便・強い腹痛・発熱は相談
血便や下痢が続く、強い腹痛がある場合は医療機関へ相談します。突然の激しい腹痛や腹部が硬くなるなどの変化があれば、腸に穴が開く重い状態も考えて緊急に受診してください。発熱と右上腹部痛が出た場合は肝膿瘍の可能性も医師に伝えます。
感染経路を中立に伝える
汚染された水・食品や海外渡航だけでなく、性別や性的指向を問わず便が口に入る可能性のある接触も感染経路です。診療に必要な範囲で、渡航・飲食・性的接触と発症時期を伝えましょう。国内にいることや発熱がないことだけで感染を否定しません。
便検査が一度陰性でも判断しない
便中の原虫、抗原などを調べ、状況により内視鏡や画像検査を検討します。便の検査では原虫を見つけにくいことがあるため、一度陰性でも症状や感染の可能性を医師に伝えて追加検査を相談します。肝膿瘍が疑われる場合も、便に原虫が見つからないことがあります。
薬は腸内の原虫への対応まで確認
メトロニダゾールで症状が改善した後も、腸内の原虫を除く目的のパロモマイシンが推奨されています。薬を自己判断で終えず、追加薬の必要性、使い方、終了後の便検査を担当医に聞きましょう。無症状でも病原性のある原虫が確認された場合は治療について相談します。
便が口に入る経路を減らす
トイレ後や食事・調理前に石けんで手を洗い、流行地域では安全な飲料水や十分に加熱した食品を選びます。性的接触でも糞口感染が起こり得るため、便への接触を避ける方法や、パートナーへの影響を医療者と相談してください。
治療後と肝臓の症状を確認
治療終了後は便の再検査などで原虫が残っていないか確認します。下痢・血便が続く、再び腹痛が出る場合は再診します。発熱と右上腹部痛が新たに出たら肝膿瘍も評価が必要です。アメーバ赤痢は五類全数把握の対象で、確定時の届出は医師が行います。