概要
副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が不足して、血中のカルシウムが低下し、リンが高くなることなどが起こる病気です。手足や口の周りのしびれ、筋肉のこわばり・けいれんが現れます。
手足の筋肉が不随意に収縮する症状をテタニーと呼びます。重い低カルシウム血症では全身のけいれんや呼吸の障害が起こることもあり、症状の程度によって対応が異なります。
原因
甲状腺などの首の手術に伴う副甲状腺の障害、遺伝子の変化、自己免疫などが原因になります。原因が十分に分からない場合もあります。手術歴と家族歴、薬の情報も診断に役立ちます。
似た名前の偽性副甲状腺機能低下症では、PTHが不足しているのではなく、体がPTHに十分反応しません。低カルシウム血症の原因はほかにもあるため、採血で病型を区別します。
治療法
活性型ビタミンD製剤でカルシウムの調節を行い、必要に応じてカルシウム製剤を併用します。強い症状を伴う低カルシウム血症では、医療機関でカルシウムの点滴などを行います。
2025年11月から国内でPTHを補う注射薬も使用可能になりました。成人のPTH分泌不足が対象で、従来の治療を受けている人の検査値、症状、生活への影響などから適応を検討します。PTHへの反応が低い偽性の病型には効果が期待できず、同じ治療を当てはめません。
カルシウムだけで病型を決めない
カルシウム、リン、PTHを調べ、腎機能やマグネシウムなども確認します。血液中のタンパク質の状態によってカルシウム値の評価を補正する場合もあります。 『PTHの不足か、反応の低下か』『手術と関係するか』『一時的な変化か、継続した治療が必要か』を確認してください。しびれだけでは、この病気と診断できません。
薬を続けながら血液と尿を確認する
治療では低カルシウムによる症状を抑えつつ、高カルシウムや尿へのカルシウムの過剰排泄も避けます。腎結石や腎機能への影響をみるため、血液・尿などの定期検査を行います。 調子がよくても薬を自己判断で中止・増量せず、飲み忘れや注射の中断時の対応を処方元に確認してください。薬を変えた後には採血の予定も確かめます。
全身のけいれん・呼吸困難は119番
全身のけいれん、意識の変化、呼吸が苦しい状態は119番へ連絡してください。新しくしびれや筋肉のこわばりが出た場合も、治療中の医療機関へ早めに連絡します。サプリメントで様子を見るのではなく、血液検査を含む評価を受けてください。