概要
腹圧性尿失禁は、咳・くしゃみ、走る、重い物を持つなど、お腹に力がかかったときに意図せず尿が漏れる状態です。女性に多く、妊娠・出産後などにもみられます。突然の強い尿意とともに漏れる切迫性尿失禁とは区別しますが、両方が重なる混合性尿失禁もあります。漏れる量だけでなく、活動や外出への支障も治療を相談する理由です。
原因
骨盤底筋や周囲の組織による尿道の支え、尿道を閉じる働きの低下などが関係します。妊娠・出産、加齢、体重増加や、咳・便秘などの負荷も評価します。本人の病歴や漏れる場面、診察・尿検査を合わせて、ほかの尿失禁や感染などを確認します。「女性は皆、括約筋が弱い」と一律に説明するものではありません。
治療法
骨盤底筋訓練を専門の医療者の指導で行うことが基本です。女性では少なくとも3か月の訓練と、その途中・終了時の評価を相談します。体重や咳・便秘などへの対応も検討します。十分に改善せず本人が希望する場合は、中部尿道スリング手術などの選択肢を、効果・合併症・生活への影響を踏まえて専門医と検討します。
漏れる場面と、できなくなった活動を伝える
咳・運動・立ち上がりなど何をすると漏れるか、量やパッドの使用、急な尿意の有無を伝えます。漏れを防ぐため運動や外出を避けていることも大切な情報です。妊娠・出産、手術歴、便秘や咳、今後の妊娠希望も相談しましょう。混合性の場合は、特に困る症状を確認して治療を考えます。
パッド検査の量だけで治療を決めない
問診・診察、尿検査、必要に応じた排尿日誌や残尿測定などで評価します。パッドテストを全員に行うわけではなく、少量でも生活への影響を考慮します。尿流動態検査なども、尿失禁の種類が不明、排尿障害や手術歴があるなど、状況に合わせて検討します。何を確認する検査か聞きましょう。
正しく締めて緩める方法を教わる
骨盤底筋を締める・緩める動作ができるかを確認してもらい、能力や痛み、生活に合わせた訓練計画を立てます。女性の腹圧性・混合性尿失禁では、少なくとも3か月の指導下の訓練が推奨されています。途中と終了時に方法・効果を確認し、効果があれば続けます。痛みや難しさを隠して回数だけ増やさないでください。
水分を極端に減らさず、負担も相談
飲水が多すぎる・少なすぎる場合は適切な量を相談し、肥満がある場合の体重管理や、続く咳・便秘への対応も検討します。パッドは生活を支える用品として使えますが、それだけで治療の相談を終える必要はありません。皮膚の状態と用品の適合、外出や運動を続けるための工夫も相談できます。
手術は効果・リスク・回復期間を比べて選ぶ
保存的な治療で十分に改善しない場合、本人の希望と状態に合わせて手術を相談します。期待できる効果、排尿困難などの合併症、麻酔・入院・回復期間と、妊娠希望への対応を聞きましょう。メッシュを使う場合は永久的な材料であること、長期の合併症と完全に取り除けない場合があることも確認します。自分の状態で検討できる選択肢を専門医と比べましょう。
治療後の痛み・尿の出にくさは連絡
血尿や続く膀胱・尿道の痛み、尿が出にくい・出ない症状は、通常の尿漏れとは別に医療機関へ相談します。手術後も再診と連絡先を確認し、新たな痛み・排尿の変化、再び漏れる場合は評価を受けましょう。症状が残るときは、混合性尿失禁などの併存と治療の目標を見直します。