概要
IgA腎症(アイジーエーじんしょう)は、IgAという免疫に関わるタンパク質が腎臓の糸球体に沈着し、炎症を起こす病気です。慢性糸球体腎炎の一つで、初期は症状がなく、健診や学校検尿で血尿・尿タンパクを指摘されることがあります。かぜなどに伴い目で分かる血尿が出る場合もあります。経過には個人差があり、尿と腎機能を継続して確認します。
原因
異常なIgAを含む免疫複合体の形成と、腎臓での炎症が関係すると考えられていますが、発症の仕組みはすべて解明されていません。単にIgAが多いだけという説明や、血液のIgA値だけでの診断は適切ではありません。IgA血管炎や感染などに関連する腎炎とも区別します。
治療法
尿タンパクの量、腎機能の推移、血圧などから進行の危険と治療目標を相談します。血圧・尿タンパクを管理して腎臓を守る治療と、IgAに関連する炎症への治療を組み合わせる場合があります。病状に応じ薬物治療や扁桃摘出を検討し、利点と副作用を説明してもらいます。全員にステロイドや手術が必要なわけではなく、食事・運動の調整も個別に行います。
見える血尿や急な尿量・体調の変化は早めに連絡
目で分かる血尿が出たら、かぜの後だからと放置せず医療機関へ連絡します。診断済みでも、血尿をすべてIgA腎症のせいと決めつけません。尿が明らかに減る、むくみが急に増える場合も早急に相談してください。急な呼吸困難や意識の異常は119番です。症状がなくても、健診で尿の異常を指摘されたら結果を持って受診しましょう。
血液のIgA値だけでは診断できない
確定診断には腎生検で採った組織の検査が必要です。検尿・採血・血圧などから他の原因や生検の必要性を検討します。検査で何を確かめ、治療にどう役立つか、出血などの危険も説明してもらいましょう。薬やサプリメントをすべて伝え、検査前の休薬を自分で決めないでください。生検を受けない場合も、今後の検査と相談の予定を確認します。
尿タンパクと腎機能の推移から目標を共有
症状の有無や一回の数値だけでなく、尿タンパク量と腎機能(eGFR)の変化を確認します。生検結果や進行を予測する情報は相談の助けになりますが、点数だけで薬を決めません。『今の進行リスクはどの程度か』『尿タンパクと血圧の目標は何か』『次はいつ検査するか』を聞いておきましょう。改善しても自己判断で通院を中断しないことが大切です。
治療の目的・利点・負担を一緒に検討
ACE阻害薬・ARBなどによる腎保護と、必要な場合のステロイド等の治療を相談します。扁桃摘出とステロイドパルス療法も国内で検討される選択肢ですが、全員に行うものではありません。新しい治療の情報は更新が続いています。海外の承認や試験の改善率だけで薬の優劣を決めず、国内の適応、期待できる効果、副作用対策、通院と費用を確認してください。ステロイドの量や中止は医師の指示に従います。
減塩と栄養・運動を、自分の状態に合わせる
減塩、禁煙、体重の管理を相談します。タンパク質制限は腎機能と栄養状態などによって異なり、診断名だけで始めません。運動制限は通常必要ありませんが、病状・体力と医師の指示に合わせます。水分や食事の過度な制限も避け、管理栄養士などと続けられる方法を考えましょう。仕事・通学への影響や治療の負担も相談できます。
妊娠の希望と子どもの治療は前もって相談
妊娠を希望するときは、腎機能・尿タンパク・血圧と薬を前もって相談します。妊娠に向かない薬があるため、計画的な変更が必要な場合があります。妊娠が分かったら治療先へ連絡し、自己判断で薬を一括して中止しません。子どものIgA腎症では、小児の専門医と成長・学校生活も踏まえて検査・治療を決めます。成人の治療量や数値目標をそのまま当てはめません。