概要
急性糸球体腎炎は、血液をろ過する糸球体に急に炎症が起こり、血尿、尿タンパク、尿量の低下、むくみ、血圧上昇などが見られる状態です。原因は一つではありません。代表的な溶連菌感染後糸球体腎炎は、のどや皮膚の感染後に免疫反応によって起こり、子どもだけでなく成人にも見られます。尿の色が変わらない軽い血尿や、自覚症状の乏しい場合もあるため、検査で確かめます。
原因
溶連菌感染後糸球体腎炎では、A群溶血性レンサ球菌による感染に対する免疫反応が腎臓に影響します。菌が直接腎臓に感染する腎盂腎炎とは仕組みが異なります。のどの感染後約10日、皮膚の感染後約3週間で発症することがありますが、この日数だけでは診断できません。ほかの感染症や、自己免疫・血管炎などが関係する糸球体腎炎もあり、症状、病歴、尿・血液検査などで原因を調べます。
治療法
腎機能、尿量、むくみ、血圧を確認し、塩分・水分の調整、利尿薬や血圧の薬など、病状に応じた治療を行います。溶連菌感染後の場合、残っている溶連菌を除き周囲への感染を減らす目的で抗菌薬を使うことがあります。すべての急性糸球体腎炎に同じ抗菌薬を使うわけではありません。原因によって免疫を抑える治療などが必要になり、重症では入院管理や腎機能を補う治療を検討します。
尿が少ない、むくみが急に増える場合は早く受診
尿が明らかに減る、顔や脚のむくみ・体重が急に増える、赤褐色の尿が出る場合は、早めに医療機関へ連絡・受診してください。血尿の原因は腎炎だけではありません。急に息苦しい、意識がおかしい、けいれんが起こる場合は119番です。強い頭痛など急な変化も、自己判断で血圧の薬や水分を調整せず、医療者へ伝えましょう。
尿と腎機能に加え、感染歴や免疫に関係する検査を確認
尿の赤血球・タンパク、血液のクレアチニンなどの腎機能、血圧を確認します。溶連菌感染後を疑うときは、のどや皮膚の感染歴、溶連菌に対する抗体、補体などを調べます。原因や経過に応じて画像検査や腎生検を検討します。全員に同じ検査が必要とは限りません。直近の発熱や皮膚症状、薬、持病、以前の尿・血液検査の結果を持参してください。
感染後の腎炎と、急速な腎機能低下を区別する
溶連菌感染後の腎炎は、急性糸球体腎炎の一つです。急に腎機能が悪化する原因には、別の免疫の病気などもあります。感染後だから自然に治ると決めず、検査と経過で評価します。尿量や体調の悪化、呼吸症状が出たときは、次の定期受診を待たず連絡してください。診断された原因と、悪化時の受診先を確認しておきましょう。
抗菌薬の目的は、残る感染への対応と菌の拡散を減らすこと
溶連菌感染後の腎炎そのものは、菌が腎臓で増殖する病気ではありません。抗菌薬は、残っている溶連菌を除くために用います。抗菌薬だけでむくみや腎機能がすぐ改善するとは限らず、血圧や体液の管理が必要です。以前の抗菌薬を自己判断で使わず、処方の目的と飲む期間を確認します。手洗いや咳のマナーなど、もとの感染を広げない対応も行います。
塩分・水分・食事・休養は、検査と尿量に合わせる
むくみや尿量低下がある時期は、塩分や水分の調整が必要になる場合があります。量は年齢、尿量、腎機能、栄養状態などに応じて医療者が決めます。塩分やタンパク質を一律に厳しく制限する方法ではありません。今の食事と水分、記録する体重・尿量、学校・仕事・運動を再開する条件を確認し、指示された計画に沿って療養してください。
むくみが減っても、尿・腎機能・血圧の確認を続ける
溶連菌感染後の腎炎は小児で回復することが多い一方、成人などでは腎機能の問題が残る場合があります。むくみが引いたことだけで回復を決めず、尿タンパク・血尿、腎機能、血圧を確認します。次の検査と通院期間、連絡する症状を相談してください。他の原因による腎炎へ、小児の溶連菌感染後の見通しをそのまま当てはめることはできません。