概要
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まる、または浅くなることを繰り返し、眠りや日中の生活に影響する病気です。大きないびき、呼吸が止まる様子を指摘される、起床時の頭痛、日中の眠気・集中力低下などが手がかりです。眠気が目立たない人もいます。いびきだけ、または一晩の自己観察だけで診断せず、睡眠中の呼吸を測る検査を受けます。強い眠気で運転や作業に支障がある場合は、事故を避ける対応と早めの受診が必要です。
原因
最も多い閉塞性睡眠時無呼吸では、眠ると舌や喉の筋肉が緩み、上気道が狭くなったり塞がったりします。肥満は重要な要因ですが、顎の形、扁桃の大きさ、鼻の病気などが関わるため、肥満でない人にも起こります。脳から呼吸への指令がうまく出ない中枢性睡眠時無呼吸もあり、心不全などの病気と関連する場合があります。両者では評価と治療が異なります。
治療法
診察では症状や運転への影響、持病を聞き、自宅での簡易検査や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で無呼吸と低呼吸を確かめます。成人の閉塞性では、重症度や症状に応じてCPAP(睡眠中にマスクから空気を送り気道を保つ治療)、歯科で調整する口腔内装置、体重管理や飲酒・睡眠習慣の見直しなどを選びます。小児の扁桃・アデノイド肥大など、原因によっては手術も検討します。減量だけで必ず治るわけではなく、CPAPや口腔内装置は開始後も症状・使用状況・効果を確認します。
運転中に眠くなる場合は運転を控えて相談
居眠りや強い眠気が運転・機械作業に及ぶ場合は、事故の危険があります。眠気のある状態で運転を続けず、運転や作業を控えて早めに医療機関へ相談してください。周囲から呼吸停止を指摘された場合も、眠気が弱いからと放置しないでください。
簡易検査やPSGで呼吸の状態を確かめる
受診時にはいびき、呼吸停止、眠気、起床時の頭痛、持病、飲酒や薬について伝えます。自宅で行う簡易検査や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で無呼吸・低呼吸を測ります。PSGでは無呼吸低呼吸指数(AHI)と症状などを合わせて判断します。「10秒止まった」「いびきがある」だけで診断はできません。
閉塞性か中枢性かで治療方針が変わる
多くは喉の気道が狭くなる閉塞性ですが、心不全などに関連して呼吸の指令が乱れる中枢性もあります。閉塞性を想定したマウスピースや減量だけを全員に当てはめず、検査でタイプと重症度を確認します。
CPAP・口腔内装置・生活改善を症状と重症度で選ぶ
成人の中等症以上などではCPAPが重要な治療です。比較的軽症なら歯科で調整する口腔内装置が候補になります。肥満があれば減量に取り組み、飲酒習慣なども見直しますが、減量のみで十分とは限りません。小児で扁桃・アデノイド肥大が原因なら手術を検討します。
CPAPが合わない場合も中断前に相談
マスクの違和感、空気漏れ、鼻の不快感などで継続が難しい場合は、診療先に具体的な困りごとを伝えてください。CPAP開始後は機器の使用状況と残る症状を確認し、必要に応じて設定や方法を調整します。自己判断で治療を中断せず、別の選択肢も相談できます。
症状の改善と将来の病気の予防を分けて考える
CPAPは閉塞性無呼吸や日中の眠気を改善しますが、「使えば心筋梗塞や脳卒中のリスクが必ず通常と同じになる」とは言えません。心血管疾患がある人を対象としたSAVE試験では、平均約3.3時間/夜の使用で主要心血管イベントの減少は示されませんでした。治療の目的と、血圧・心血管リスクなどの管理を主治医と確認してください。