概要
甲状腺腫瘍は、首の前側にある甲状腺にできる良性・悪性の腫瘍です。甲状腺のしこり(結節)には、腫瘍だけでなく、細胞の増殖や液体がたまるのう胞なども含まれます。しこりがあるだけで、がんとは限りません。
多くはほかの症状がなく、良性・悪性のどちらでも甲状腺ホルモン値が正常なことがあります。大きくなると飲み込みにくさや圧迫感が出る場合があり、首のしこりや続く声のかすれなどに気づいたら受診してください。
原因
多くの甲状腺結節では、発生する理由がはっきり分かっていません。一部の甲状腺がんには遺伝や放射線被ばくなどが関わりますが、すべてのしこりに共通する原因ではありません。
悪性腫瘍にも乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんなど複数の種類があります。症状やホルモン値だけで良性・悪性や種類を決めることはできません。
治療法
良性と判断され、症状がない結節では経過観察を行うことが多くあります。大きくなる、気管などを圧迫する、良性と確定できないなどの場合は、再検査や手術などを検討します。
悪性の場合は種類と広がり、本人の状態に合わせて治療を選びます。手術、放射性ヨウ素内用療法、薬物療法などの選択肢があります。超低リスクの乳頭がんでは、定期検査を続ける積極的経過観察が勧められています。すべてのがんに当てはまる方針ではありません。
血液検査が正常でもしこりを評価する
血液検査では甲状腺の働きを、超音波ではしこりの形・大きさ・内部などを調べます。必要に応じて細い針で細胞を採る穿刺吸引細胞診を行います。全員にすべての検査を行うわけではありません。 ホルモン値が正常であることと、しこりが良性であることは別です。検査で何が分かり、何がまだ分からないかを確認してください。
判定保留と経過観察の意味
細胞診には、良性・悪性を決められない場合や、判定に十分な細胞が採れない場合があります。判定保留は、がんの確定を意味しません。再度の細胞診、経過観察、診断のための手術などから方針を相談します。 経過観察では変化を確認し、必要に応じて検査や治療へ進みます。良性のしこりが必ずがんに変わるから検査する、という説明は適切ではありません。
次の検査までに相談する変化
『次の検査はいつか』『大きさが変わったらどう連絡するか』『飲み込みや声の変化があったらどこへ相談するか』を確認してください。急に首が腫れる、呼吸が苦しいなどの場合は、予定日を待たずに受診します。強い呼吸困難では119番へ連絡してください。